資金繰りの安定は、利益よりも先に確認すべき経営の生命線です。毎週のキャッシュ見通しと、月次での損益・貸借・キャッシュフローの整合確認を習慣化することで、突発的な資金不足や意思決定の遅れを未然に防ぎます。
週次でやること
- 入出金の見直し: 直近13週間の入金予定（主要顧客別）と支払予定（主要仕入先別）を更新し、差額がマイナスになる週の対策を前倒しします。
- 売掛・買掛の健全性チェック: 年齢表（エイジング）で長期滞留を特定し、回収・支払条件の見直しや交渉を計画します。
- 在庫とマージンの確認: 在庫回転と粗利率を並べて見て、値付け・仕入れ・廃棄の見直しポイントを洗い出します。
月次で読むべき3つの表
- 損益計算書（PL）: 売上、売上原価、販管費、営業利益の流れを把握し、製品・チャネル別の採算を確認します。
- 貸借対照表（BS）: 資産（現金、売掛、在庫）と負債（買掛、借入）のバランス、自己資本比率の推移を確認します。
- キャッシュ・フロー計算書（CF）: 営業・投資・財務の各活動で現金がどのように動いたかを把握し、利益と現金の差の理由を特定します。
運転資本を強くするコツ
- 回収を早く、支払を計画的に: 早期入金割引や督促の仕組みを整え、主要仕入先とは支払サイトを現実的に再設計します。
- 在庫を痩せさせる: 需要予測に基づいた補充と滞留在庫の処分基準を明確化し、資金の寝かせを減らします。
- 価格と条件を見直す: 粗利と回転率を軸に、値上げ・セット化・ミニマムロット交渉などの打ち手を定期的に検討します.
ミスを減らす習慣
- 個人と会社のお金を混同しない: 口座・カードを分け、証憑を必ず残し、月次で残高を突合します。
- 「後から分類」をやめる: 取引発生時に勘定科目とメモを付け、月末の集計作業を軽くします。
- 利益だけで判断しない: 黒字でも資金ショートは起こり得るため、利益とキャッシュの双方で意思決定します。
今月やってみる3ステップ
- 13週間の資金繰り表を作る: 週次の入出金を顧客・仕入先単位で一覧化し、マイナス週の対策（値引き回避、前受、支払調整）を決めます。
- 売掛の方針を定義する: 与信限度、遅延時のエスカレーション、停止条件をドキュメント化します。
- 月次の読書会を開く: PL・BS・CFの差分を解説し、現場のアクション（値付け、在庫、条件交渉）に落とし込みます。
必要であれば、この日本語版を業種別（小売、D2C、受託、SaaS）にカスタマイズし、週次・月次のチェックリストと会議アジェンダのテンプレートを追加できます。